<報告①>

 オオキンケイギク駆除のための遮光シート実験の実施について

(2024年3月25日〜5月末予定)

 

 河原の植生に大きな脅威を与えるとされるオオキンケイギク。その駆除には、根から引き抜くことが推奨されています。とはいえ、なかなか大変で、手の届かない法面や急斜面では作業がむずかしく、駆除が進みません。そこで、兵庫県の西宮土木事務所 武庫川対策室、宝塚土木事務所 武庫川対策室と武庫川ネットが共同して、遮光シートによる駆除の実験をすることになりました。雑草対策などに使われる防草シートで光を当たらなくしてオオキンケイギクの生育を抑えようという試みです。

 

 3月25日に、西宮市と宝塚市の境界を流れる仁川の上百合野橋上流の左岸を実験地として、遮光シートを設置した処理区 (①、②) と比較のためそのままにした対照区をそれぞれ3つ設けました ()

 

 

 実験開始から約1か月経過した422日、シートを一時的に外して様子を観察したところ、オオキンケイギクは「もやし」のようになっていました (④、⑤)。実験は河川が増水する恐れのある梅雨前の5月末まで行い、オオキンケイギクやその他の生物にどの程度影響があるかを調べる予定です。さて、この後どうなるか、注目です。

①オオキンケイギク駆除実験の遮光シートの設置作業。あいにくの小雨の中での作業でした (325)

② 設置された遮光シート (3月25日)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③ 上百合野橋上流の左岸に設けられた実験区。①、③、⑥が遮光シートを設置した処理区、②、④、⑤が比較のためシートを設置しない対照区(道路の端に貼られた白いテープが目印、326日対岸から撮影、写真は合成したもの)

④ 約1か月後の経過を観察するためにシートを一時的に外したところ (右側)。オオキンケイギクは「もやし」状態になっていた。比較のための対照区 (左側) ではオオキンケイギクが青々と育っている (422)

⑤ 「もやし」状態になったオオキンケイギク。植物のたくましさも感じます (422)


<報告②>

 オオキンケイギク駆除のための遮光シート撤収

(2024年5月29日)

 

 仁川の上百合野橋上流の左岸にオオキンケイギク駆除のために実験的に遮光シートを設置してから約2か月。本格的な梅雨シーズンの前に、兵庫県武庫川対策室の職員2名の方と武庫川ネット会員4名によって、遮光シートを撤収する作業を行いました。予定していた528日は、低気圧と前線の影響で警報が出るほどの大雨となり(西宮の24時間降水量は161ミリ)、作業は中止。翌日増水が落ち着いてからの作業となりました。

シート下部70センチくらいまで泥をかぶり、固定用の土のうも少し動くなど、増水の激しさがわかりましたが、さいわいシートはすべて無事で、撤収作業を終えることができました(①)。隣接して設けたシートを設置しないで放置した対照区では、オオキンケイギクが開花中です(②)。シートを設置した処理区のオオキンケイギクは、ひと月前は白いモヤシ状態でしたが(HP中間報告参照)、今回は地上部がかなり乾燥し、一見枯れているように見えました(③、④;写真③で白く見えているのは別のイネ科植物です)。しかし、引き抜いて根の状態を観察してみると、まだ完全に枯死していないようでもあります(⑤)。

 

 

遮光シートで生育を抑えたオオキンケイギクが、このまま衰弱してやがて枯死するのか、それともしぶとく復活してくるのか、この実験では追跡調査を続けていく予定にしています。

 

①護岸での遮光シートの撤収作業

②遮光シートを設置していない対照区の様子。オオキンケイギクはまだ花ざかり

③遮光シートを撤収した処理区の様子。白い茎が見えるのはイネ科の植物。

④オオキンケイギクの地上部はほぼ枯れている。

⑤実験処理区のオオキンケイギクの根の様子。まだ完全には枯死していないようにも見える。